物語文で問われるのは、ほとんどが登場人物の「心情(気持ち)」です。ところが心情は、ふつう本文に「うれしかった」とそのまま書かれていません。だからこそ、情景や行動から気持ちを読み取る力に大きく差がつきます。この記事では、その読み取り方を順番に説明します。
物語文の設問の多くは、「このときの○○の気持ちを答えなさい」「なぜ○○はこうしたのか」という形です。つまり物語文は、登場人物の気持ちと、その気持ちが動いた理由を読み取る勉強だと考えてよいでしょう。あらすじを追うだけでなく、「今この人はどんな気持ちか」を意識して読むことが第一歩です。
心情は、次のような場所に「かくれて」表れます。これらに線を引きながら読むと、気持ちが見えてきます。
| 手がかり | 本文での表れ方 | 読み取れる心情の例 |
|---|---|---|
| 情景描写 | 空が真っ暗になった/日がさしてきた | 不安・暗い気持ち/明るい・希望 |
| 行動 | 足を速めた/うつむいて黙りこんだ | あせり・喜び/落ちこみ・後悔 |
| 表情・しぐさ | 口をとがらせた/ぎゅっとこぶしを握った | 不満・いらだち/くやしさ・緊張 |
| 会話 | 「もういいよ」と言った | あきらめ・すねた気持ち |
| 比喩(たとえ) | 胸が石のように重い | つらさ・重苦しさ |
とくに情景描写はだまされやすい手がかりです。「雨が降り出した」は天気の説明のようでいて、登場人物の沈んだ心を表していることがよくあります。
心情には必ずきっかけ(出来事)があり、その心情が次の行動につながります。たとえば「試合に負けた(出来事)→くやしい(心情)→一人で練習を続けた(行動)」という流れです。設問で気持ちの理由を聞かれたら、その直前の出来事をさかのぼって探しましょう。逆に行動の理由を聞かれたら、その手前の心情を見つけます。この因果の鎖を意識すると、答えがぶれなくなります。
物語の主人公の気持ちは、はじめから終わりまで同じではありません。ある出来事をきっかけに、マイナスからプラスへ(またはその逆へ)と変わります。場面が変わる目印は次のとおりです。
これらの切れ目で「ここまでの気持ち」と「ここからの気持ち」を比べると、変化がはっきりつかめます。
気持ちを答えるには、それを表す言葉を知っていることが欠かせません。よく出る心情語を整理しておきましょう。
| 方向 | 系統 | 心情語の例 |
|---|---|---|
| プラス | うれしい系 | 喜び・満足・誇らしい・感謝・安心 |
| マイナス | 悲しい系 | 悲しみ・さびしさ・後悔・失望 |
| マイナス | 怒り系 | いらだち・不満・くやしさ・反発 |
| マイナス | 不安系 | 不安・緊張・とまどい・おそれ |
同じ「いやな気持ち」でも、怒りなのか不安なのかで答えは変わります。場面に合った言葉を選ぶことが、正確な解答につながります。
記述問題では、心情だけを書いても不十分です。基本の形は「〜(出来事)で、〜という気持ち」です。たとえば「友だちにあやまってもらえて、ほっとうれしい気持ち。」のように、原因と気持ちをセットで書きます。本文の言葉を手がかりにしつつ、最後は心情を表す言葉できちんと結ぶことがポイントです。
四択では、まず本文の手がかりと合っているかを確かめます。注意すべきまちがい選択肢は次のとおりです。
あやしい選択肢を一つずつ消していき、本文の手がかりとぴたりと合うものを残しましょう。
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